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ラマン分光の基本概要

分光測定と光

光は物質とさまざまな形で相互作用します。内部を透過する物質がある一方で、反射や散乱をする物質もあります。この相互作用には、物質と光の色 (波長) の両方が影響を与えます。この光の研究が「分光学」と呼ばれています。可視スペクトルのどの部分が人の目に入るかによって、人が認識する色が決まります。

例えば、照射された光のスペクトルの赤い部分が物質によって吸収され、反射 (または散乱) した青い部分のみが人の目に入ると、物質が青く見えます。

ラマン分光は散乱光を調べるものです。

スペクトルのわずか一部から青い光だけを物質に照射した場合、物質から反射した青い光だけが見えるか、光が完全に吸収されて (黒い物質の場合) まったく光が見えなくなるかのいずれかになると予想されます。

しかし、ラマン分光装置を使用すると、多くの場合、散乱光のごく一部に異なる色が存在することがわかります。周波数が変化するのは、散乱プロセスで分子振動と反応してエネルギーが変化するためです。これがラマン散乱のプロセスです。ラマンという名称は、この現象を発見したインドの有名な物理学者、C・V・ラマン博士に由来します。彼は、この発見の功績が認められて、1930 年にノーベル物理学賞を受賞しました。

原子の振動を調べることで、物質の化学的組成やその他の有益な情報がわかります。

ラマン効果は非常に弱く、色が変化するのは、散乱光の約 1 千万分の 1 のみです。これを肉眼で確認するには弱すぎるため、超高感度の分光測定装置で光を分析します。

ラマン分光装置

これらのシステムは次のものから構成されます。

  • 1 個以上の単色光源 (レーザー)
  • レンズ (サンプルに光をフォーカスし、散乱光を収集するもの)
  • フィルタ (ラマン光のみを収集するために、反射光と散乱光を純化)
  • 光を色成分に分割する手段 (通常、グレーティングかプリズムを使用)
  • 超高感度の検出器 (弱い光を検出)
  • システム全体の制御、スペクトル表示、この情報の分析を行うための、コンピュータなどのデバイス

X 線を照射したり、光をどう吸収するか (赤外線吸収や紫外線吸収など )を確認したりするような、他の分析技術に比べて、ラマン散乱は物質を研究する上で大きな利点を備えています。

パンフレット「ラマン分光とは」のダウンロード

  • カタログ:  ラマン分光とは カタログ: ラマン分光とは

    レニショーでは、1990 年代初頭からラマン分光測定システムを提供しています。弊社でよく尋ねられる質問の一つに、「ラマン分光とは何か」というものがあります。 このパンフレットでは、この質問に回答すると共に、「ラマンイメージはどのように作成されるのか」、「SERSとは何か」といった関連する質問への回答など、役立つ情報を提供します