ナビゲーションのスキップ

レニショーフィクスチャ、三次元測定機の検査時間半減に貢献

Tritech Precision Products 社* (以下 Tritech 社) は大気中や真空中で使用する上質なインベストメント鋳型のメーカーである。航空機、医療、発電、車両部品、安全装置、鉄道、一般製造など多岐にわたる企業に製品を納入している。

顧客からの、より詳細な抜取り検査を実施してほしいという要望に応えるために、同社はレニショーの PH10T モータライズドヘッドを装備した 2 台の DCC 三次元測定機を購入した。そしてその後、パーツ検査の再現性と品質管理にかかる時間の削減を目的として、レニショーのモジュラ式フィクスチャも購入した。これらを購入し導入したことで、抜取り検査にかかる時間が半分になったという。三次元測定機におけるパーツ固定はもはや「アキレス腱」ではない、と Tritech 社で Engineering Manager を務める Stanley Chubb 氏と Chief Inspector を務める Rob Calway 氏は述べる。

要望を満たす、さらには超える

Stanley Chubb 氏: 「15 年前の Tritech 社入社当時、昔ながらの計測機器や検査機器しかありませんでした。手動式の三次元測定機はありましたが、使っていたのは主にノギスとマイクロメータです。ですが今は、Mitutoyo 製の DCC 三次元測定機が 2 台あります。大きさに多少差があり、大きいほうをパーツの抜取り検査に主に使っています。小さいほうは検査プログラムの作成用です」

「15 年前のやりかたは、顧客の要望を満たしていましたし、特に問題もなく、十分だったと思っています。ただ、時間とともに顧客や業界の要求が変化してきました。より高い精度が求められ、総合的な検査とトレーサビリティが要求されるようになってきました。その要望や要求に応えるため、さらには上回るために測定機の購入に踏み切ったのです」

YPC case study: Renishaw’s metrology solutions in use, a CMM modular fixturing set-up, alongside PH10 motorised head and a probe rack

Rob Calway 氏: 三次元測定機を購入したことで、検査工程における問題点が治具にあることがはっきりしました。1 回限りの製品や小ロットの検査時、V ブロックやそのときあるものを使ってその場その場で間に合わせていました。しかしこのやりかたでは、検査量を増やしたいとき、位置の再現性を高めたいときにはうまくいきません。例えば 1 ロット 90~100 個の鋳型を作り、そこから 10 個の抜取り検査をしようと思うと、三次元測定機の準備だけで非常に時間がかかっていました。そこで頼ったのがレニショーさんです。実用的なアドバイスや提案をいただき、フィクスチャのテストや検証を行いました。

Stanley Chubb 氏: 当社では M6 のベースプレート 2 枚とマグネット/クランピングキット 1 セットを購入しました。2 枚のプレートに 1 回限りの製品や 10~12 個のサンプルをセットします。また Rob が、レニショーさんの FixtureBuilder を使って、うちでよく扱うパーツのセット手順を作ってくれました。この手順に従うだけでセットアップを構築できます。そして三次元測定機にプレートを設置し、プログラムを呼び出して計測するのです。また、プレートの位置決め用にガイドを独自設計しました。Rob が作った手順書に書かれた位置に、ガイドに沿ってプレートを簡単に設置できます。

再現性と精度が高い、トレーサブルな計測

Rob Calway 氏: このフィクスチャシステムでたくさんのパーツを何度でも精度よく計測できるようになり、所要時間の短縮とミスの削減につながりました。作業者がフィクスチャやパーツの位置を悩まなくても、三次元測定機の適した位置にミスなく簡単に配置できます。また、レニショーさんのシステムは拡張性があります。クランプやベースプレートを追加購入するだけでよいのです。他社の製品と比べて非常に費用対効果に優れているます。

YPC case study: Multiple-part set-up increasing throughput on CMM while allowing for future flexibility

Stanley Chubb 氏: 検査を短時間で何度も行う場合、ミスが起きないようにすると忙しい製造現場では使えず、かといって現場で使えるようにするとミスが起きがちになってしまいます。少ないほうが効果がでる、個人的には常にそう考えています。パーツ 1 個や複数のための段取りを構築後、再現性は落とさずにできるだけ使用するコンポーネントを減らしています。ポストや支持棒の数を増やすほど、アクセスが悪くなり、計測作業に時間がかかるようになります。パーツを載せるポイントとしては 3 点あれば十分です。そしてその 3 点のうち 1 点か 2 点を磁石にしておけば、安定性が増します。レニショーさんのタッチプローブは測定圧力が低いため、磁石にしておくだけで、パーツがずれなくなります。

Rob Calway 氏: FixtureBuilder のおかげで、オフラインプログラミングが効率的にできるようになりました。フィクスチャのセットアップを 3D モデルで作成してエクスポートできるため、パーツができる前にプログラムを作成できたこともありました。FixtureBuilder で、セットアップを 3D モデルで作成し、このモデルを使って効率的にプログラムを作成できます。

FixtureBuilder screen with an YPC component

Stanley Chubb 氏:生産現場ですし、納期は極めて重要ですから、検査量と検査速度は最優先で考えるべき課題です。レニショーさんのフィクスチャを導入したことで、時間の大幅な節約ができました。また、繰り返し精度も劇的に向上しています。

繰り返し精度を証明することができるため、バッチ全体の精度に信頼がおけると、お客様には安心いただいています。三次元測定機用のフィクスチャの構築は、精度が低かったり、ぶつかったり、また不足があったり、時間がかかるものではなくなりました。使い勝手が大きく改善しました。

FixtureBuilder 'おかげで、オフラインプログラミングが効率的にできるようになりました。フィクスチャのセットアップを 3D モデルで作成してエクスポートできるため、パーツができる前にプログラムを作成できたこともありました。FixtureBuilder で、セットアップを 3D モデルで作成し、このモデルを使って効率的にプログラムを作成できます。

Tritech Precision Products Yeovil 社 (英国)

レニショー三次元測定機用フィクスチャ

レニショーの三次元測定機用フィクスチャは、測定の処理量、再現性および精度の向上に貢献する製品である。ワークを素早く固定できるだけでなく、繰り返し同じセットアップを構築できる。また、モジュラ方式を採用しているため、ニーズに合わせて拡張可能である。あらゆるサイズや形状、素材のパーツに対して使用できる。航空機、自動車、電子機器産業あるいは医療関連の部品でも、対象とするパーツに制限はない。

M4、M6、M8 といった各種ねじサイズのフィクスチャプレートやフィクスチャコンポーネントをラインナップしており、簡単に理想的なセットアップを構築でき、検査量の拡大と検査のダウンタイムの短縮に効果的である。

またビジョンシステムやマルチセンサー機用のフィクスチャもあり、パーツ固定の時間短縮と再現性向上に貢献する。その他にも、レニショーからはカスタム設計や FixtureBuilder ソフトウェアなどさまざまなサービスや製品を提供している。

Tritech Precision Products 社の概要

Tritech 社は創業 50 年以上を数えるメーカーであり、ステンレススチール、銅基合金、ニッケル基超合金やコバルト基超合金の鋳物を製造している。顧客として、Rolls Royce、Messier Dowty、Augusta Westland などの有名企業を抱えている。

* 旧 Yeovil Precision Castings (YPC) 社

The YPC team

Engineering Manager の Stanley Chubb 氏 (右側) と Chief Inspector の Rob Calway 氏 (左側)

ダウンロード