TONiC™ インクリメンタルエンコーダシステム with RGSZ20 リニアスケール
機能
- リードヘッドサイズ: 35×13.5×10mm
- 最高分解能 1nm
- 最高速度 10m/s
- アナログ出力またはデジタル出力
- 超低周期誤差: 平均±30nm 未満
- 真空対応タイプもラインナップ
- IN-TRAC™ オプティカルリファレンスマーク
メリット
- 適宜切断可能な、最長 50m のスケール
- 動的信号処理でモーションコントロール性能を向上
- 汚れに対する高い耐性
- 診断キットで取付け上の問題を解決してシステムを最適化

TONiC とは
TONiC はレニショーのコンパクトな非接触式エンコーダシステムです。最高速度は 10m/s で、Ti インターフェースと組み合わせた場合、リニアおよびロータリシステムとしての最高分解能は 1nm です。取付け公差が広く、ボタン 1 個でキャリブレーションを行えるため、短時間で簡単に取り付けられます。また、動的信号処理により、平均周期誤差±30nm 未満という優れた信号の安定性を確保し、優れたモーションコントロール性能を実現します。
RGSZ20 スケールとは
RGSZ20 は薄く柔らかい帯鋼から作られた、20µm ピッチの目盛りを刻んだテープスケールです。金めっきが施されているため、高い反射率と腐食耐性を誇ります。また、ユーザー選択式の IN-TRAC リファレンスマークを有しています。金属、セラミック、複合材をはじめとする大半のエンジニアリング材料に UHV 対応両面テープで取り付けられます。スケール両端をエンドクランプで機材に固定することで、RGSZ20 の熱膨張率は機材と同じになります。リール巻きでの提供のため、適宜切断して使用できます。最大軸長は 50m です。
このエンコーダシステムのメリット
長距離対応
適宜切断して使用する、リール巻きのため、在庫管理の手間がかからず、生産上の多様性も向上します。
最大長は 50m です。
コンパクトサイズで究極の信頼性と性能を実現
TONiC リードヘッドには、優れた信頼性、一貫した性能、そして高い汚れ耐性を実現するために第三世代のオプティカルフィルタ機構が実装されています。この機構は、低ノイズ (ジッタ) になるよう調整してあり、オートゲインコントロールやオートオフセットコントロールといった動的信号処理により強化されています。リードヘッドに内蔵したこれらの機能により、極めて優れた純度の信号と、±30nm という非常に低い周期誤差が実現しています。これらが、多くの場面で要求される高いスキャニング性能に必要な、スムーズな速度制御と位置決めの安定性につながっています。
短時間で簡単に取付け
リードヘッドに搭載されているセットアップ LED が信号レベルを視覚的に表示します。アクセサリの診断キットを使用すると、リードヘッドが装置内に組み込まれている場合でも遠隔方式でシステム性能をチェックできます。リファレンスマークとインクリメンタル信号のキャリブレーションは、ボタンを押すだけで実行でき、機械的な調整や他の診断ツールも不要です。また、IN-TRAC オプティカルリファレンスマーク (ユーザーが位置選択可能) がインクリメンタルスケールに組み込まれているため、サイズがコンパクトに抑えられており、アライメントも簡易化しています。これにより、仕様範囲内の温度と速度において、分解能単位の両方向の繰り返し再現性を備えたリファレンスマーク出力が得られます。
対応インターフェース
TD (デュアル分解能) インターフェース
- 選択可能なデュアル分解能のデジタル信号出力
- 高速移動と高精度の位置決めを必要とする用途に最適
DOP (デュアル出力) インターフェース
- デジタル信号と 1Vpp のアナログ信号を同時出力。
- 移動軸と複数動作を同期させる用途向けに設計
診断キット (アクセサリ)

TONiC 診断ソフトウェアを使用すると、TONiC エンコーダを最適な状態で取り付けて、統合的なシステムキャリブレーションを短時間で行なえるようになります。このソフトウェアは、TONiC 診断用ハードウェアと一緒に使う必要があります。このハードウェアの購入については、レニショーまでお問い合わせください (パーツ No. A-9411-0011)。ハードウェアは、USB ケーブル (キットに付属) で PC に接続するか、エンコーダの接続先機器を介して接続できます。
TONiC 診断キットの詳細をご覧ください。
技術仕様
対応スケール | RGSZ20: 保護ラッカーコーティング剤を塗布した金めっきスチールテープ RGSN20: リファレンスマークなし |
リードヘッドサイズ (長さ×幅×厚さ) | 35mm×13.5mm×10mm |
スケールピッチ | 20µm |
熱膨張率 | 機材の熱膨張率と同じ (両端をエンドクランプで機材に固定時) |
精度等級 | ±15µm/m (2 点間補正時は±3µm/m) |
リファレンスマーク | 50mm の間隔で IN-TRAC リファレンスマークを配置 セレクタを複数のリファレンスマークの識別に使用 |
リミットスイッチ | デュアルまたはシングルリミット (発注時に選択) |
スケール長 | 最長 50m (50m 超はお問い合わせください) |
最高速度 アナログ デジタル | (詳細はデータシート参照) -3dB で最高 10m/s 最高 10m/s |
周期誤差 | 平均±30nm 未満 |
動的信号制御 | オートゲインコントロール、オートオフセットコントロールなどのリアルタイム信号処理で、動作中にパフォーマンス最適化 |
インクリメンタル信号 アナログ デジタル | 1Vpp (20µm 周期) 分解能 5µm~1nm |
電気接続 | ケーブル長 0.5m、1m、1.5m、3m、5m、10m、ミニコネクタ (TONiC インターフェースに直接接続) |
電源 | 5V±10%、<100mA (アナログシステム)、<200mA (デジタルシステム) (未終端) |
振動 (動作) | 最大 100m/s2@55Hz~2,000Hz |
衝撃 (非動作) | 1,000m/s2、6ms、½ sine |
動作温度 (システム) | 0℃~+70℃ |
防水防塵性能 | リードヘッド: IP40 インターフェース: IP20 |
詳細については、データシートを参照してください。
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メカニズム
TONiC は、レニショー独自の第三世代のオプティカルフィルタ機構を備えており、この機構が、多くのスケール周期値を平均して、汚れなどの非周期性の特徴を効果的に除去します。矩形波スケールパターンも除去されて、検出面ではきれいな正弦波の干渉縞が得られます。検出面には複数のフィンガ構造が採用されており、目が細かく、4 点の対称的な位相信号をフォト電流として得ます。これらを組み合わせて DC 成分を除去し、帯域幅を 500kHz 以上に維持しながら、高いスペクトル純度と低いオフセットに抑えたサイン波とコサイン波の信号を出力します。
オートゲインコントロール、オートバランスコントロール、オートオフセットコントロールといった高度な動的信号処理が組み合わされ、平均±30nm 未満という非常に低い周期誤差を実現しています。
高度化したオプティカルフィルタ機構と、選び抜かれた電子部品と組み合わせることで、10m/s の最大速度を実現する広い帯域幅のインクリメンタル信号を確保しながら、このクラスのエンコーダで最小の位置データのジッタ (ノイズ) を実現しています。内挿分割は Ti リードヘッド内で CORDIC アルゴリズムによって行われます。高分解能バージョンでは、ノイズ低減用の機構が追加搭載されており、わずか 0.5nm RMS というジッタを実現しています。

インクリメンタルスケールには、IN-TRAC リファレンスマークが刻まれており、リードヘッド内のスプリットフォトディテクタにより検出されます。図のように、リファレンスマークのスプリットディテクタがインクリメンタルチャンネルのリニアフォトダイオードアレイの中央に直接組み込まれているため、ヨー方向の位相がずれてもほとんど影響を受けません。これにより、仕様範囲内のあらゆる速度で分解能単位の双方向の繰り返し再現性を備えたリファレンスマーク出力が得られます。さらに、自動キャリブレーション機能により、リファレンスマークの位相調整をボタン 1 個で実施でき、動的信号処理を最適化できます。