RESOLUTE™ ETR アブソリュートエンコーダシステム with REXA30 ロータリ (角度位置決め用) リング
機能
- 対応プロトコル: BiSS®
- リードヘッドサイズ: 36×16.5×17.2mm
- 最高分解能 32bit/回転
- 最高速度 8,500rev/min
- 動作温度-40℃~+80℃
- 最高±1arc 秒の取付け精度
- サイドケーブルタイプもラインナップ
メリット
- 厚いリング
- 優れたモーションコントロール性能
- 広い取付け公差
- 10nm 未満のジッタで位置決めの安定性が向上
- ±40nm の周期誤差でスムーズな速度制御を実現
- 高度診断ツールにも対応
RESOLUTE ETR とは
RESOLUTE ETR (Extended Temperature Range: 拡張温度範囲) は、汚れに対する高い耐性と優れた仕様を備えた、まったく新しい光学式アブソリュートファインピッチエンコーダシステムです。8,500rev/min で 32bit の分解能を実現した、世界初の光学式アブソリュートエンコーダです。
画期的なファインピッチの RESOLUTE アブソリュート角度位置決め用エンコーダの利点を、条件の厳しい低温環境で活用できるようにしたものです。結露のない環境での-40℃まで動作保証されており、科学研究、防衛、航空宇宙などの過酷な用途に最適です。
2015 年度英国女王 (法人) 賞のイノベーション部門賞を受賞
REXA30 リングとは
REXA30 は、円周上に 30µm ピッチの絶対目盛が直接刻まれたステンレススチールリングです。厚めの断面設計になっているため、偏心を除くあらゆる取付け誤差を最小に抑えることができ、偏心も DSi (デュアルシグナルインターフェース) と 2 個のリードヘッドの平均値を使用することで簡単に補正できます。最高±1arc 秒の取付け精度と、優れた繰り返し精度を備えており、結合部がないためカップリングロスの影響を受けません。
REXA30 には各種サイズ (Ø52mm~Ø417mm) を用意しています。いずれも、内径が大きい中空構造であるため、装置へさまざまな方法で取付けできます。さらに非接触式のため、従来の密閉式のエンコーダに見られるバックラッシュ、シャフトのよじれ、その他のメカニカルなヒステリシス誤差の影響を受けません。
このエンコーダシステムのメリット
トラブルシューティングとトラブル解決が簡単
高度診断ツール ADTa-100 で、RESOLUTE™ リードヘッドからさまざまなリアルタイムデータを取得できます。取得したデータは、使い方が簡単なソフトウェアの ADT View で表示します。システムのセットアップには、エンコーダに搭載された内蔵セットアップ LED が十分なことがほとんどですが、高度診断ツールは、通常よりも取付け条件が難しい場合に使用します。また、高度診断ツールをエンコーダパフォーマンスの確認に使用したり、システムのトラブルシューティングに役立てて長いダウンタイムを回避したりできます。
ETR (Extended Temperature Range: 拡張温度範囲)
RESOLUTE ETR アブソリュートエンコーダは頑丈なステンレススチールスケールを使用し、高い振動耐性を備えており、過酷な環境にも耐えられるように設計されています。また、回転軸における超高速性と高信頼性といった優れた測定性能を発揮します。
広い取付け公差
RESOLUTE は、2 本のトラック (1 本はインクリメンタル、もう 1 本はアブソリュート) を横に並べて配置する従来の方法を採用していないため、ヨー方向のわずかな角度のずれによる位相ずれの問題が発生しません。代わりに、絶対位置と位相情報を 1 点のコードにまとめた、単一トラックの光学式アブソリュートスケールを採用しています。これにより、RESOLUTE の取付け公差は広くなっているため (ヨー公差±0.5°)、短時間で取り付けでき、また、軸が静止する場合でも動く場合でも長期にわたって優れた信頼性を確保しています。さらに、取付けの精度を簡単に診断するためにセットアップ LED がリードヘッドに組み込まれています。
高度診断ツール ADTa-100 (アクセサリ)

RESOLUTE エンコーダシステムは、高度診断ツール ADTa-100 とソフトウェアの ADT View に対応しています。難しい取付けや診断に役立つさまざまなデータを、エンコーダからリアルタイムで取得できます。ソフトウェアのインターフェースは直感的な作りになっており、下記の機能が使用できます。
- リモートキャリブレーション
- フルストロークにわたる信号の最適化
- エンコーダ位置をデジタル表示 (スケールに対する相対位置)
- データのエクスポートと保存
- ゼロ位置の設定
プロトコル | 説明 | データシート | 対応製品 |
BiSS® | レニショーアブソリュートエンコーダは、BiSS C (単一方向) オープンプロトコルに対応しています。BiSS は高い加速度、スムーズな速度制御、優れた双方向繰り返し精度、確実な位置決めの安定性が求められる動性の高い軸に最適な、高速シリアルプロトコルです。 | ||
Panasonic | Panasonic シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。A5 および A6 シリーズのサーボドライバに対応しており、高分解能で繰り返し精度の高いフィードバックを返せるため、サーボ制御と速度制御が向上します。 | RESOLUTE Panasonic | 該当なし |
技術仕様
対応スケール | 絶対位置コードの超高精度ステンレススチールリング |
リードヘッドサイズ (長さ×幅×厚さ) | 36mm×16.5mm×17.2mm |
スケールピッチ | 公称 30µm |
熱膨張率 (20℃時) | 15.5±0.5µm/m/℃ |
リング外径 | 52mm~417mm |
取付け精度 (2 個のリードヘッドを使用時) | (直径 100mm 以上)±1arc 秒 (直径 75mm)±1.5arc 秒 (直径 57mm 以下)±2arc 秒 |
最高速度 | (詳細はデータシート参照) 8,500rev/min (52mm リングの場合) |
プロトコル† | BiSS C |
分解能 | BiSS C: 18bit、26bit、32bit |
周期誤差 | ±40nm |
電気接続 | ケーブル長 0.5m~10m、D サブコネクタ (9 ピンまたは 15 ピン)、フライングリード |
電源 | 5V±10%、250mA@5V (終端) |
振動 (動作) | 最大 300m/s2@55Hz~2,000Hz |
衝撃 (非動作) | 1,000m/s2、6ms、½ sine |
動作時温度 | -40℃~+80℃ |
防水防塵性能 | IP64 |
詳細については、データシートを参照してください。
†他のプロトコルも随時追加しています。
ダウンロード
データシート
ホワイトペーパー
図面
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder (Side cable outlet) [gen]
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder [gen]
- 3D model: Advanced Diagnostic Tool ADTa-100 [gen]
- 3D model: REXx 52 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 57 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 75 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 100 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 103 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 104 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 115 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 150 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 183 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 200 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 206 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 209 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 229 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 255 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 300 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 350 mm ring [gen]
- 3D model: REXx 417 mm ring [gen]
メカニズム
RESOLUTE は、業界標準のプロトコル (コントローラ各社のプロトコルとオープンプロトコル) を使用して、シリアル形式の双方向通信を行います。

プロセスの開始
コントローラが、リニアスケールまたはロータリスケール上の絶対位置を読み取るリクエストを、リードヘッドに送信して動作を開始します。このリクエストを受け、リードヘッドは高出力 LED を点滅させて、スケールを照らします。この点滅は、移動軸上の画像のブレを防止するために、100ns という非常に短い時間で行われます。このタイミングは、リクエストした位置とフィードバックした位置間の関係を維持するために数ナノ秒単位で制御されます。このような制御が、RESOLUTE が超高精密なモーションコントロールに最適である理由のひとつです。
シングルトラックスケール
スケールはシングルトラックで、幅全域にわたって反射しやすい線と反射しない線が公称 30µm ピッチで刻まれています。平行に配置した複数のトラックを使用しているわけではないため、ヨー方向の変化に対しての耐性が得られており、またヘッドの横方向への位置公差が広くなっています。
画像取得
スケールの画像は、ゆがみがほぼない非球面レンズを介して、RESOLUTE 専用設計のカスタムディテクタ上に取得されます。照射経路は曲がっていますが画像の取得は直線で行う、コンパクトさと安定性を両立した光学構成となっています。そのため、高精度の測定に不可欠な、実際の状態の画像を確実にそのまま取得する、ということが実現しています。
データのデコードと解析
ディテクタによって取得した画像は、アナログ-デジタルコンバータによって、高性能デジタル信号プロセッサ (DSP) に転送されます。その後、専用アルゴリズムを使用して、スケールに埋め込まれたコードから、比較的おおまかな絶対位置を取得します。このプロセスはチェックされ、DSP の、スケールコード内の冗長性と意図的な制約を利用する別のアルゴリズムによって補正が行われます。その一方で、他のルーチンが高分解能の詳細な位置を算出し、算出した位置とおおまかな位置と組み合わせることで、高分解能の真の絶対位置を取得します。
最終チェックとデータ出力
最終エラーチェック後、この位置情報は 1nm 単位の位置を表すシリアルワードとして、適切なプロトコルでコントローラにアップロードされます。この際、CRC (巡回冗長検査) によって、電気ノイズに対しての保護が施されています。プロセス全体としては、数マイクロ秒程しかかからず、毎秒最大 25,000 回繰り返す場合もあります。この性能は、軸速度に合わせた点滅時間調整などの各種技術によって最高速度 100m/s でも保持されます。また、同時に、低速度域でも超低ジッタを実現しています。
効果
エンコーダの取り付け公差を非常に大きくすることができます。RESOLUTE では、ヨー、ピッチ、ロールで ±0.5°の姿勢公差を持ち、取付高さ公差は実に ±150µm になります。さらに、広い照射面積と高度な誤差補正処理により、微粒子やグリースによる汚れに対して耐性が非常に高くなっています。これらはすべて、100m/s での分解能 1nm を確保したうえで実現しています。RESOLUTE は、過酷な環境での絶対位置決めに最適です。