RESOLUTE™ アブソリュートエンコーダシステム with RTLA30 リニアスケール
機能
- プロトコル: BiSS®、DRIVE-CLiQ、FANUC、Mitsubishi、Panasonic、Yaskawa
- リードヘッドサイズ: 36×16.5×17.2mm
- 最高分解能 1nm (100m/s 時)
- 精度±5µm/m (20℃時)
- 熱膨張率 (20℃時): 10.1±0.2µm/m/℃
- 真空対応タイプとサイドケーブルタイプもラインナップ
メリット
- 使い勝手がよく、頑丈なテープスケール
- 優れたモーションコントロール性能
- 汚れに対する非常に高い耐性
- 広い取付け公差
- 10nm 未満のジッタで位置決めの安定性が向上
- ±40nm の周期誤差でスムーズな速度制御を実現
- 高度診断ツールにも対応
RESOLUTE とは
RESOLUTE は、汚れに対する高い耐性を備え、優れた仕様で位置決めフィードバックの新天地を開く、真のアブソリュートファインピッチ光学式エンコーダシステムです。100m/s の最高速度で 1nm の分解能を実現した、世界初のアブソリュートエンコーダです。周期誤差とジッタが非常に低いため、同等クラスの他のエンコーダよりもはるかに優れたリニアエンコーダシステムを構築できます。

2015 年度英国女王 (法人) 賞のイノベーション部門賞を受賞
RTLA30 スケールとは
RTLA30 は、30µm ピッチの絶対位置スケールコードを刻んだ、薄型のステンレススチールテープスケールです。精度は±5µm/m で、最大長は 21m です。取付け方法には 2 種類あります。どちらの方法でも、機材に影響されない熱膨張率を確保しつつ簡単に取り付けられます。
RTLA30 には、画期的な FASTRACK™ スケールガイドシステムを使用できます。このシステムでは、取付け穴が不要で、短時間で簡単にスケールの経路を敷設できます。位置合わせのためのスペーサを外して、テープスケールを経路に挿入します。
RTLA30-S の貼付けには、両面テープを使用します。両面テープは、機材に影響されない熱膨張率を維持できるように製造されています。
なお、どちらのスケールタイプにしても、1 箇所をクランプ固定して基準位置を配置して、取付けを完了します。
このエンコーダシステムのメリット
トラブルシューティングとトラブル解決が簡単
高度診断ツール ADTa-100 で、RESOLUTE™ リードヘッドからさまざまなリアルタイムデータを取得できます。取得したデータは、使い方が簡単なソフトウェアの ADT View で表示します。システムのセットアップには、エンコーダに搭載された内蔵セットアップ LED が十分なことがほとんどですが、高度診断ツールは、通常よりも取付け条件が難しい場合に使用します。また、高度診断ツールをエンコーダパフォーマンスの確認に使用したり、システムのトラブルシューティングに役立てて長いダウンタイムを回避したりできます。
優れたモーションコントロール性能
RESOLUTE の業界トップクラスの性能は、最先端の信頼性が高い、画期的な動作方法によるものです。このシステムには、30µm のスケールピッチ、およびシングルトラックの繰り返しのないバーコードスケール方式が採用されています。高度な光学設計が施された RESOLUTE リードヘッドは、このスケールのほぼ瞬間的なイメージを取得します。取得したイメージが分析されることで、最高 100m/s の速度で厳密な位置の特定ができるようになっています。このシステムは、低いノイズ (ジッタ 10nm 未満) とわずか±40nm の周期誤差で、1nm (1m の 10 億分の 1) という微小な分解能の位置決めを行っています。これにより、優れた信頼性のエンコーダフィードバックが取得され、スムーズな速度制御と確実な位置決め安定性が実現しています。
広い取付け公差
RESOLUTE は、2 本のトラック (1 本はインクリメンタル、もう 1 本はアブソリュート) を横に並べて配置する従来の方法を採用していないため、ヨー方向のわずかな角度のずれによる位相ずれの問題が発生しません。代わりに、絶対位置と位相情報を 1 点のコードにまとめた、単一トラックの光学式アブソリュートスケールを採用しています。これにより、RESOLUTE の取付け公差は広くなっているため (ヨー公差±0.5°)、短時間で取り付けでき、また、軸が静止する場合でも動く場合でも長期にわたって優れた信頼性を確保しています。さらに、取付けの精度を簡単に診断するためにセットアップ LED がリードヘッドに組み込まれています。
対応インターフェース
DRIVE-CLiQ インターフェース
- DRIVE-CLiQ プロトコルに必要
- 高精度ロータリシステム用のデュアルヘッド入力にも対応
- 通信アラームを表示
- リードヘッド LED と同期
他の対応プロトコルにはインターフェースは不要です。
高度診断ツール ADTa-100 (アクセサリ)

RESOLUTE エンコーダシステムは、高度診断ツール ADTa-100 とソフトウェアの ADT View に対応しています。難しい取付けや診断に役立つさまざまなデータを、エンコーダからリアルタイムで取得できます。ソフトウェアのインターフェースは直感的な作りになっており、下記の機能が使用できます。
- リモートキャリブレーション
- フルストロークにわたる信号の最適化
- エンコーダ位置をデジタル表示 (スケールに対する相対位置)
- データのエクスポートと保存
- ゼロ位置の設定
プロトコル | 説明 | データシート | 対応製品 |
BiSS® | レニショーアブソリュートエンコーダは、BiSS C (単一方向) オープンプロトコルに対応しています。BiSS は高い加速度、スムーズな速度制御、優れた双方向繰り返し精度、確実な位置決めの安定性が求められる動性の高い軸に最適な高速シリアルプロトコルです。 | ||
DRIVE-CLiQ | Siemens DRIVE-CLiQ シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリ (角度位置決め用) システムのどちらとしても使用できます。DRIVE-CLiQ は、エンコーダと直接測定システムを SINUMERIK および SINAMICS で接続するための、革新的で高機能な通信インターフェースです。 | 該当なし | |
FANUC | FANUC シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。 | 該当なし | |
Mitsubishi | Mitsubishi シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。RESOLUTE は、J4 シリーズのサーボドライバと、工作機械用の MDS-D2、DH2、DM2 および DJ ドライバに対応しています。 | 該当なし | |
Panasonic | Panasonic シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。A5 および A6 シリーズのサーボドライバに対応しており、高分解能で繰り返し精度の高いフィードバックを返せるため、サーボ制御と速度制御が向上します。 | 該当なし | |
Yaskawa | Yaskawa シリアルインターフェースを搭載した RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。Sigma-5 および Sigma-7 SERVOPACK に対応しています。 | RESOLUTE Yaskawa | 該当なし |
技術仕様
対応スケール | RTLA30/FASTRACK: ガイドシステムとステンレススチールテープスケール RTLA30-S: FASTRACK を使用せずに機材に直接貼り付ける、絶対位置コードが刻まれた両面テープ式ステンレススチールテープスケール |
リードヘッドサイズ (長さ×幅×厚さ) | 36mm×16.5mm×17.2mm |
スケールピッチ | 公称 30µm |
熱膨張率 (20℃時) | 10.1±0.2µm/m/℃ |
精度等級 (20℃時) | ±5µm/m |
スケール長 | BiSS C® プロトコルバージョンによっては最大長が制限されます (詳細はデータシート参照) FASTRACK: 100mm~25m RTLA30、RTLA30-S: 最長 21m |
最高速度 | (詳細はデータシート参照) 最高 100m/s |
プロトコル* | BiSS C Mitsubishi DRIVE-CLiQ† Panasonic FANUC Yaskawa |
分解能 | BiSS C: 50nm、5nm、1nm DRIVE-CLiQ†、FANUC および Mitsubishi: 50nm、1nm Panasonic: 100nm、50nm、1nm Yaskawa: 50nm、1nm |
周期誤差 | ±40nm |
電気接続 | 最大ケーブル長 10m。D サブコネクタ (9 ピンまたは 15 ピン)、フライングリード、FANUC 互換コネクタ、LEMO、M12 |
電源 | 5V±10%、最大 250mA@5V (終端) |
振動 (動作) | 最大 300m/s2@55~2000Hz |
衝撃 (非動作) | 1,000m/s2、6ms、½ sine |
動作時温度 | 0℃~+80℃ |
防水防塵性能 | IP64 |
詳細については、データシートを参照してください。
*他のプロトコルも随時追加しています。
†DRIVE-CLiQ の仕様については、データシートを参照してください。
ダウンロード
データシート
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データシート: BiSS シリアル通信を搭載した RESOLUTE™アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: シーメンス DRIVE-CLiQ シリアル通信を搭載したRESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: FANUC シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: Mitsubishi シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: Panasonic シリアル通信用 RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: Yaskawa シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: FASTRACK™ と RTLA-S 高精度アブソリュート リニアエンコーダスケールシステム •
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データシート: Advanced Diagnostic Tool ADTa-100
インストレーションガイド
ユーザーガイド
ホワイトペーパー
図面
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder [gen]
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder (Side cable outlet) [gen]
- 3D model: Advanced Diagnostic Tool ADTa-100 [gen]
- 3D model: RTLx adhesive clamp [gen]
- 3D model: DRIVE-CLiQ interface - single readhead input [gen]
- 3D model: DRIVE-CLiQ interface - dual readhead input [gen]
メカニズム
RESOLUTE は、業界標準のプロトコル (コントローラ各社のプロトコルとオープンプロトコル) を使用して、シリアル形式の双方向通信を行います。

プロセスの開始
コントローラが、リニアスケールまたはロータリスケール上の絶対位置を読み取るリクエストを、リードヘッドに送信して動作を開始します。このリクエストを受け、リードヘッドは高出力 LED を点滅させて、スケールを照らします。この点滅は、移動軸上の画像のブレを防止するために、100ns という非常に短い時間で行われます。このタイミングは、リクエストした位置とフィードバックした位置間の関係を維持するために数ナノ秒単位で制御されます。このような制御が、RESOLUTE が超高精密なモーションコントロールに最適である理由のひとつです。
シングルトラックスケール
スケールはシングルトラックで、幅全域にわたって反射しやすい線と反射しない線が公称 30µm ピッチで刻まれています。平行に配置した複数のトラックを使用しているわけではないため、ヨー方向の変化に対しての耐性が得られており、またヘッドの横方向への位置公差が広くなっています。
画像取得
スケールの画像は、ゆがみがほぼない非球面レンズを介して、RESOLUTE 専用設計のカスタムディテクタ上に取得されます。照射経路は曲がっていますが画像の取得は直線で行う、コンパクトさと安定性を両立した光学構成となっています。そのため、高精度の測定に不可欠な、実際の状態の画像を確実にそのまま取得する、ということが実現しています。
データのデコードと解析
ディテクタによって取得した画像は、アナログ-デジタルコンバータによって、高性能デジタル信号プロセッサ (DSP) に転送されます。その後、専用アルゴリズムを使用して、スケールに埋め込まれたコードから、比較的おおまかな絶対位置を取得します。このプロセスはチェックされ、DSP の、スケールコード内の冗長性と意図的な制約を利用する別のアルゴリズムによって補正が行われます。その一方で、他のルーチンが高分解能の詳細な位置を算出し、算出した位置とおおまかな位置と組み合わせることで、高分解能の真の絶対位置を取得します。
最終チェックとデータ出力
最終エラーチェック後、この位置情報は 1nm 単位の位置を表すシリアルワードとして、適切なプロトコルでコントローラにアップロードされます。この際、CRC (巡回冗長検査) によって、電気ノイズに対しての保護が施されています。プロセス全体としては、数マイクロ秒程しかかからず、毎秒最大 25,000 回繰り返す場合もあります。この性能は、軸速度に合わせた点滅時間調整などの各種技術によって最高速度 100m/s でも保持されます。また、同時に、低速度域でも超低ジッタを実現しています。
効果
エンコーダの取り付け公差を非常に大きくすることができます。RESOLUTE では、ヨー、ピッチ、ロールで ±0.5°の姿勢公差を持ち、取付高さ公差は実に ±150µm になります。さらに、広い照射面積と高度な誤差補正処理により、微粒子やグリースによる汚れに対して耐性が非常に高くなっています。これらはすべて、100m/s での分解能 1nm を確保したうえで実現しています。RESOLUTE は、過酷な環境での絶対位置決めに最適です。