RESOLUTE™ アブソリュートエンコーダシステム with RESA30 ロータリ (角度位置決め用) リング
機能
- 対応プロトコル: BiSS®、DRIVE-CLiQ、FANUC、Mitsubishi、Panasonic、Yaskawa
- リードヘッドサイズ: 36×16.5×17.2mm
- 最高分解能 32bit/回転 (36,000rev/min 時)
- システム精度±0.52~5.49arc 秒
- 真空対応タイプ、拡張温度範囲タイプ、サイドケーブルタイプもラインナップ
メリット
- 内径が大きく取付けが簡単な、薄型リング
- 優れたモーションコントロール性能
- 汚れに対する非常に高い耐性
- 広い取付け公差
- 10nm 未満のジッタで位置決めの安定性が向上
- ±40nm の周期誤差でスムーズな速度制御を実現
- 高度診断ツールにも対応

RESOLUTE とは
RESOLUTE は、汚れに対する高い耐性を備え、優れた仕様で位置決めフィードバックの新天地を開く、真のアブソリュートファインピッチ光学式エンコーダシステムです。36,000rev/min で 32bit の分解能を実現した、世界初の光学式アブソリュートエンコーダです。周期誤差とジッタが非常に低いため、同等クラスの他のエンコーダよりもはるかに優れたロータリエンコーダシステムを構築できます。
2015 年度英国女王 (法人) 賞のイノベーション部門賞を受賞
RESA30 リングとは
RESA30 は円周上に絶対目盛が直接刻まれたステンレススチールリングです。タイプとしては 2 種類、サイズとしては複数種 (Ø52mm~Ø550mm) 用意しています。A セクションリングは、優れた取付け精度を備えているだけでなく、加工パーツの公差を厳しく設定する必要性を少なくし、偏心を排除するテーパー固定方式を採用しています。また、質量が軽く低イナーシャ設計の薄型 B セクションリングもラインナップしています。A セクションリングと B セクションリングは、いずれも内径が大きい中空構造であるため、さまざまな方法で装置に取り付けられます。さらに非接触式のため、従来の密閉式のエンコーダに見られるバックラッシュ、シャフトのよじれ、その他のメカニカルなヒステリシス誤差の影響を受けません。
このエンコーダシステムのメリット
トラブルシューティングとトラブル解決が簡単
高度診断ツール ADTa-100 で、RESOLUTE™ リードヘッドからさまざまなリアルタイムデータを取得できます。取得したデータは、使い方が簡単なソフトウェアの ADT View で表示します。システムのセットアップには、エンコーダに搭載された内蔵セットアップ LED が十分なことがほとんどですが、高度診断ツールは、通常よりも取付け条件が難しい場合に使用します。また、高度診断ツールをエンコーダパフォーマンスの確認に使用したり、システムのトラブルシューティングに役立てて長いダウンタイムを回避したりできます。
優れたモーションコントロール性能
RESOLUTE の業界トップクラスの性能は、最先端の信頼性が高い、画期的な動作方法によるものです。このシステムには、30µm のスケールピッチ、およびシングルトラックの繰り返しのないバーコードスケール方式が採用されています。高度な光学設計が施された RESOLUTE リードヘッドは、このスケールのほぼ瞬間的なイメージを取得します。取得したイメージが分析されることで、最高 100m/s の速度で厳密な位置の特定ができるようになっています。このシステムは、低いノイズ (ジッタ 10nm 未満) とわずか±40nm の周期誤差で、1nm (1m の 10 億分の 1) という微小な分解能の位置決めを行っています。これにより、優れた信頼性のエンコーダフィードバックが取得され、スムーズな速度制御と確実な位置決め安定性が実現しています。
広い取付け公差
RESOLUTE は、2 本のトラック (1 本はインクリメンタル、もう 1 本はアブソリュート) を横に並べて配置する従来の方法を採用していないため、ヨー方向のわずかな角度のずれによる位相ずれの問題が発生しません。代わりに、絶対位置と位相情報を 1 点のコードにまとめた、単一トラックの光学式アブソリュートスケールを採用しています。これにより、RESOLUTE の取付け公差は広くなっているため (ヨー公差±0.5°)、短時間で取り付けでき、また、軸が静止する場合でも動く場合でも長期にわたって優れた信頼性を確保しています。さらに、取付けの精度を簡単に診断するためにセットアップ LED がリードヘッドに組み込まれています。
対応インターフェース
DRIVE-CLiQ インターフェース
- DRIVE-CLiQ プロトコルに必要
- 高精度ロータリシステム用のデュアルヘッド入力にも対応
- 通信アラームを表示
- リードヘッド LED と同期
他の対応プロトコルにはインターフェースは不要です。
高度診断ツール ADTa-100 (アクセサリ)

RESOLUTE エンコーダシステムは、高度診断ツール ADTa-100 とソフトウェアの ADT View に対応しています。難しい取付けや診断に役立つさまざまなデータを、エンコーダからリアルタイムで取得できます。ソフトウェアのインターフェースは直感的な作りになっており、下記の機能が使用できます。
- リモートキャリブレーション
- フルストロークにわたる信号の最適化
- エンコーダ位置をデジタル表示 (スケールに対する相対位置)
- データのエクスポートと保存
- ゼロ位置の設定
プロトコル | 説明 | データシート | 対応製品 |
BiSS® | レニショーアブソリュートエンコーダは、BiSS C (単一方向) オープンプロトコルに対応しています。BiSS は高い加速度、スムーズな速度制御、優れた双方向繰り返し精度、確実な位置決めの安定性が求められる動性の高い軸に最適な、高速シリアルプロトコルです。 | ||
DRIVE-CLiQ | Siemens DRIVE-CLiQ シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリ (角度位置決め用) システムのどちらとしても使用できます。DRIVE-CLiQ は、エンコーダと直接測定システムを SINUMERIK および SINAMICS で接続するための、革新的で高機能な通信インターフェースです。 | 該当なし | |
FANUC | FANUC シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。RESOLUTE を FANUC コントローラ搭載の高性能の工作機械に使用することで、安定性と信頼性の高いシリアル通信、優れた輪郭制御性能、固定位置での安定性、高速性といった、多くのメリットが得られます。さらに非接触式のため、従来の密閉式のエンコーダに見られるバックラッシュ、シャフトのよじれ、ヒステリシス誤差がなくなります。 | 該当なし | |
Mitsubishi | Mitsubishi シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。RESOLUTE は、J4 シリーズのサーボドライバと、工作機械用の MDS-D2、DH2、DM2 および DJ ドライバに対応しています。 | 該当なし | |
Panasonic | Panasonic シリアルインターフェースを組み込んだ RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。A5 および A6 シリーズのサーボドライバに対応しており、高分解能で繰り返し精度の高いフィードバックを返せるため、サーボ制御と速度制御が向上します。 | RESOLUTE Panasonic | 該当なし |
Yaskawa | Yaskawa シリアルインターフェースを搭載した RESOLUTE は、リニアシステムとロータリシステムのどちらとしても使用できます。Sigma-5 および Sigma-7 SERVOPACK に対応しています。 | 該当なし |
技術仕様
対応スケール | 絶対位置コードの 303/304 ステンレススチール薄型リング。内側がテーパー形状の標準の A セクションリングと低イナーシャの B セクションリングの 2 タイプ |
リードヘッドサイズ (長さ×幅×厚さ) | 36mm×16.5mm×17.2mm |
スケールピッチ | 公称 30µm |
リング外径 | 52mm~550mm |
熱膨張率 (20℃時) | 15.5±0.5µm/m/℃ |
システム精度* | ±5.49~±0.52arc 秒 (リング直径に依存) |
最高速度 | (詳細はデータシート参照) 36,000rev/min (52mm リングの場合) |
プロトコル† | BiSS C、DRIVE-CLiQ**、FANUC、Mitsubishi、Panasonic および Yaskawa |
分解能 | BiSS C: 18bit、26bit、32bit FANUC: 23bit、27bit Mitsubishi 2 線: 23bit Mitsubishi 4 線: 23bit、27bit DRIVE-CLiQ**: 26bit、29bit Yaskawa (ロータリサーボモータ): 24bit Yaskawa (フルクローズドループコントロール): 23bit、26bit、30bit |
周期誤差 | ±40nm |
電気接続 | 最大ケーブル長 10m。D サブコネクタ (9 ピンまたは 15 ピン)、フライングリード、FANUC 互換コネクタ、LEMO、M12 |
電源 | 5V±10%、250mA@5V (終端) |
振動 (動作) | 最大 300m/s2@55Hz~2,000Hz |
衝撃 (非動作) | 1,000m/s2、6ms、½ sine |
動作時温度 | 0℃~+80℃ |
防水防塵性能 | IP64 |
詳細については、データシートを参照してください。
*システム精度とは、目盛誤差に周期誤差を加えたものです。目盛精度とは、1 個のリードヘッドで計測した角度と真の回転角度との最大偏差です。偏心などの誤差は含みません。
†他のプロトコルも随時追加しています。
**DRIVE-CLiQ の仕様については、RESOLUTE DRIVE-CLiQ データシートを参照してください。
ダウンロード
データシート
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データシート: RESA アブソリュート角度位置決め用エンコーダ
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データシート: Mitsubishi シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: シーメンス DRIVE-CLiQ シリアル通信を搭載したRESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: BiSS シリアル通信を搭載した RESOLUTE™アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: FANUC シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: Yaskawa シリアル通信を搭載した RESOLUTE™ アブソリュート光学式エンコーダ
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データシート: Advanced Diagnostic Tool ADTa-100
ホワイトペーパー
図面
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder (Side cable outlet) [gen]
- 3D model: RESOLUTE™ absolute optical encoder [gen]
- 3D model: Advanced Diagnostic Tool ADTa-100 [gen]
- 3D model: RESx 52 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 57 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 75 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 100 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 103 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 104 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 150 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 200 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 206 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 209 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 229 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 255 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 300 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 350 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 413 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 417 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 489 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 550 mm A section ring [gen]
- 3D model: RESx 52 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 75 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 100 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 115 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 150 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 165 mm B section ring [gen]
- 3D model: RESx 200 mm B section ring [gen]
メカニズム
RESOLUTE は、業界標準のプロトコル (コントローラ各社のプロトコルとオープンプロトコル) を使用して、シリアル形式の双方向通信を行います。

プロセスの開始
コントローラが、リニアスケールまたはロータリスケール上の絶対位置を読み取るリクエストを、リードヘッドに送信して動作を開始します。このリクエストを受け、リードヘッドは高出力 LED を点滅させて、スケールを照らします。この点滅は、移動軸上の画像のブレを防止するために、100ns という非常に短い時間で行われます。このタイミングは、リクエストした位置とフィードバックした位置間の関係を維持するために数ナノ秒単位で制御されます。このような制御が、RESOLUTE が超高精密なモーションコントロールに最適である理由のひとつです。
シングルトラックスケール
スケールはシングルトラックで、幅全域にわたって反射しやすい線と反射しない線が公称 30µm ピッチで刻まれています。平行に配置した複数のトラックを使用しているわけではないため、ヨー方向の変化に対しての耐性が得られており、またヘッドの横方向への位置公差が広くなっています。
画像取得
スケールの画像は、ゆがみがほぼない非球面レンズを介して、RESOLUTE 専用設計のカスタムディテクタ上に取得されます。照射経路は曲がっていますが画像の取得は直線で行う、コンパクトさと安定性を両立した光学構成となっています。そのため、高精度の測定に不可欠な、実際の状態の画像を確実にそのまま取得する、ということが実現しています。
データのデコードと解析
ディテクタによって取得した画像は、アナログ-デジタルコンバータによって、高性能デジタル信号プロセッサ (DSP) に転送されます。その後、専用アルゴリズムを使用して、スケールに埋め込まれたコードから、比較的おおまかな絶対位置を取得します。このプロセスはチェックされ、DSP の、スケールコード内の冗長性と意図的な制約を利用する別のアルゴリズムによって補正が行われます。その一方で、他のルーチンが高分解能の詳細な位置を算出し、算出した位置とおおまかな位置と組み合わせることで、高分解能の真の絶対位置を取得します。
最終チェックとデータ出力
最終エラーチェック後、この位置情報は 1nm 単位の位置を表すシリアルワードとして、適切なプロトコルでコントローラにアップロードされます。この際、CRC (巡回冗長検査) によって、電気ノイズに対しての保護が施されています。プロセス全体としては、数マイクロ秒程しかかからず、毎秒最大 25,000 回繰り返す場合もあります。この性能は、軸速度に合わせた点滅時間調整などの各種技術によって最高速度 100m/s でも保持されます。また、同時に、低速度域でも超低ジッタを実現しています。
効果
エンコーダの取り付け公差を非常に大きくすることができます。RESOLUTE では、ヨー、ピッチ、ロールで ±0.5°の姿勢公差を持ち、取付高さ公差は実に ±150µm になります。さらに、広い照射面積と高度な誤差補正処理により、微粒子やグリースによる汚れに対して耐性が非常に高くなっています。これらはすべて、100m/s での分解能 1nm を確保したうえで実現しています。RESOLUTE は、過酷な環境での絶対位置決めに最適です。