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ミクロン単位で製造するグリーンエネルギー用巨大研削盤

風力タービンの姿には圧巻するものがあります。風力タービンを美しいと考える人と景観を台無しにするという人で意見が分かれますが、現在では再生可能電力源として高い需要があることは否定できません。ベアリングなど、その巨大なコンポーネントの製造には、新しい工学的なチャレンジが付きまといますが、KMT リンショーピングはこれらのチャレンジにうまく対応しています。 

スウェーデン中心部のリンショーピング町に置かれた同社の新しいハードターニング用 VTG4000(垂直旋盤切削)機は、レニショーの SiGNUM (生産終了品。代替品: VIONiC™ リードヘッド/RTLC20 スケールまたは RESOLUTE™ リードヘッド/RTLA20 スケール) 光学式リニアエンコーダと角度位置決め用エンコーダを組み合わせて使用して必要な精度を確保すると共に、切削ヘッドの露出した軸にはレニショーの頑丈な磁気式エンコーダを使用しています。

リンショーピングの VTG の主席設計者のエイヴェ・ヨハンソン氏は、「私たちの最大の工作機械では直径 600mm までのパーツを製作することができましたが、VTG4000 は風力タービンの最大ベアリングのサイズにあたる直径 4000mm を超えるサイズを扱うことができます。これは場合によっては非常に難しいハードターニングと切削で、位置決め精度が非常に重要になり、それが完成したベアリングの品質に直接反映されることになります。標準サイズの機械は、軸上にボールネジを使用して 3µm の形状偏差を維持することができますが、相対的なサイズが大幅に異なるにかかわらず、VTG4000 は、0.1µm 単位のフィード分解能で、1µm という優れた形状偏差を達成することが証明されています。

ヨハンソン氏は次のように続けます。「リンショーピングの機械の中心にあるのは、リニアスライドです。静水圧ガイドウェイ、エアシール、リニアモーターを組み合わせて、メンテナンスの必要ない頑丈かつ正確なシステムを製作しています。動剛性を得るためには、高いゲインが必要になり、ゲインがエンコーダースケールの品質につながります。さらに、角度位置決め用エンコーダでは、リングに直接スケールが組み込まれている点も非常に有効です。」

彼は、ハノーバーの EMO 2007 展でレニショーの SiGNUM エンコーダを初めて目にし、その後リンショーピングで一定期間にわたって厳格なテストを実施しました。ヨハンソン氏は次のように説明しています。「レニショーに決めるのは簡単でした。基準スライドに取り付けた様々なスケールを比較して、一番優れたパフォーマンスを示したレニショーのスケールを購入しました。私たちにとって、リニアエンコーダの連続長が 4.5m 以上あることが不可欠でしたが、SiGNUM はこれを��能にする上で最も簡単な手段です。レニショーのエンコーダは、汚れに対する耐久性の点でも他より優れていました。現在では、4 つのすべてのリニアスライドにレニショーのエンコーダを取り付けていますが、予想通り、まったく問題がありません!」

「ロータリーテーブルにも同じ設計原理を採用し、ドライブに静水圧ラジアル/軸ベアリング、エアシール、トルクモーターを使用しています。これにも同じ分析を行い、レニショーの SiGNUM 角度位置決め用エンコーダを選択しました。」

ヨハンソン氏は次のように説明しています。「レニショーに決めるのは簡単でした。基準スライドに取り付けた様々なスケールを比較して、一番優れたパフォーマンスを示したレニショーのスケールを購入しました。私たちにとって、リニアエンコーダの連続長が 4.5m 以上あることが不可欠でしたが、SiGNUM はこれを��能にする上で最も簡単な手段です。レニショーのエンコーダは、汚れに対する耐久性の点でも他より優れていました。現在では、4 つのすべてのリニアスライドにレニショーのエンコーダを取り付けていますが、予想通り、まったく問題がありません!」

KMT Lidköping (スウェーデン)

エンコーダの取り付け

レニショーのすべてのエンコーダにはセットアップ LED(レニショー特許)が備えつけられているため、短時間で取り付けることが可能になり、複雑な外付け/個別セットアップ装置やオシロスコープが不要になります。

「レニショーエンコーダの最も優れた特色の一つとして、セットアップの簡単さが挙げられます」とヨハンセン氏はコメントします。「スケールを取り付け、リードヘッドのおおよその位置決めを行った後、LED を使用して簡単に 2 つの要素の位置決めを確認しながら、最終的な調整を行うことができます。」

品質向上に伴う安全性の向上

風力タービンには、ベアリングが 1 つしかないと考えがちですが、実際には 3 種類のベアリングがあります。驚くことに、羽根の根本に配置されたピッチベアリングが最も大きく、多くの風力タービンには直径 4000mm 近いものが使用されることもあります。さらに、羽根のピッチの調整を可能にすることから、恐らく最も重要なものでもあります。運転中は、ピッチを風速に合わせる必要があり、合っていない場合には羽根が応力で崩壊することがあるため、高い信頼性を備えた高品質ベアリングが重要になります。さらに、風速が通常時速 25km 以上に増した場合には、羽根を守るために停止状態にすることが必要になります。さらに、タービンの旋回を可能にするメインシャフトベアリングとヨーベアリングも重要になります。

1 つのセットアップですべての操作を実施

VTG4000 機は、2 つのヘッドで旋盤と切削の両方を実施することで、機械加工中にコンポーネントを取り外さなくてもいいような設計になっています。2 つのヘッドは、切削/旋盤または研削/研削など、必要に応じて設定することができます。このため、コンポーネントの相反するサイドに 2 つのヘッドを移動する機械の X 軸は、長さを 4.5m とし、切削および旋盤工具がパーツの外側にアクセスできるようにする必要があります。

風力タービンのベアリング

パフォーマンスを最大限に高める機械設計

VTG4000 は非常に頑丈な機械で、一部のパーツは重量が 35 トンあります。従って、歪みや熱変動に高い耐久性を備えているだけでなく、静水圧油温とクーラント温度は綿密な制御が行われています。

リンショーピング工場長のヘンリック・ヨンソン氏は、機械の構造について次のように説明しています。「1970年代以来使用している静水圧ガイドウェイを、リニアモーターと共にすべての軸に活用しています。この組み合わせにより、高速性と精度を向上し、はるかに優れた加速性と減速性を実現できます。25000kg の回転軸を指先で動かせることを考えると、この静水圧システムの能力が理解してもらえることでしょう!」

このように巨大なベアリングを製造する上での別の重要な要因として、ワークの熱状態があります。製造中は、パーツを機械にロードする前に、48 時間以上放置して工場の状態に順化させる必要があります。

機械のオートメーション拡張機能

切削ヘッドの B 軸には、レニショーの LM10 磁気式エンコーダシステムを取り付けています。これらのエンコーダは、機械環境の苛酷な条件にさらされますが、非接触非光学式設計を使用し、IP68 準拠の防水性能を備えているため、クーラントや切粉による影響を受けることがありません。LM10 を使用すると、最大 100 メートルの移動と、最高 25m/s(分解能 1µm では 4m/s)の高速動作が可能になるだけでなく、デジタル/アナログ出力と、一連の分解能を選択することができます。

工作機械には、機械の座標系にパーツを正確に設定するために、無線信号を送信するレニショーの RMP60 タッチプローブを使用しています。VTG4000 の機械ベッドにパーツを配置した後、切削工具と同じように RMP60 を ATC マガジンにロードし、わずか数秒間で主要形状の正確な位置を検出することができます。このデータを使用してサイクル内で座標系を更新することで、パーツの正確な位置と寸法を適切に把握した状態で、直ちに機械加工を開始することができます。

時間のかかる別の手動作業を自動化するために、切削盤も ATC マガジンで交換できるようにすることができます。汎用切削盤は多くの作業に使用できますが、場合によっては正面切削盤、角度用切削盤、またはカスタマイズされた切削盤に交換することが必要になります。

新たなチャレンジにうまく対応

風力タービンと同様、サイズと能力の点では VTG4000 も、目にした人を圧倒する驚くべき機械です。VTG4000 のように大きな機械の提供は、リーションピンの以前の事業からは大きな変化でしたが、レニショーエンコーダのような適切な技術を組み込むことで、このようなチャレンジにもうまく対応しています。

回転軸