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Equator で製造能力が 30% アップ

Olympus NDT 社が目指すパーツの大量生産は、手動測定を行っていては達成できなかったが、加工現場で使用する測定システムを導入して測定を自動化することで、求めていた製造能力を手にすることができた。またそれだけでなく、パーツの品質向上、スクラップ減少という効果があった。

背景

Olympus NDT 社は非破壊検査装置の世界的大手メーカーであり、手掛ける装置は、航空機、発電、石油化学、公共インフラ、自動車、消費財など多岐にわたる分野で活用されている。

同社は、パーツや材料の隠れたひびや欠陥を検出できる非破壊検査の先端技術を有している。パーツや材料が、金属製か非金属製かは問わない。

非破壊検査装置は、内部構造に手や目が届かない場所の隠れた不具合を明らかにできるため、他の検査技術よりも時間や人員、装置コストという面でメリットがある。

カナダのケベック州にあるミシュレイノベーションゾーン。Olympus NDT 社はこの地に同社としての主要生産拠点を置き、北米にある複数の Olympus 社の拠点向けにビジネスを展開している。

非破壊検査装置

非破壊検査装置

検査対象の精密ウェッジ

検査対象の精密ウェッジ

課題

Olympus NDT 社が製造する製品のひとつに、精密ウェッジがある。非破壊検査の対象となるパーツを正確に配置するためのコンポーネントである。ウェッジは、検査対象のパーツと非破壊検査装置が持つプローブの間に配置され、パーツを検査に最適な角度に保ち、プローブを保護する役割を担う。

近年、この非破壊検査用ウェッジの需要が急激に伸びており、ケベック州の工場からはカナダとアメリカ合衆国内の Olympus 社の 4 拠点に供給している。工場の負荷が増したことで、自動化を進めて製造効率を向上する必要に迫られた。

専用の 5 軸加工機とローディングロボットにより、夜間や週末も稼働し続けることが可能になっているが、製造したウェッジの寸法測定がボトルネックになりダウンタイムが生じ、無駄なコストが生じていた。手動測定では時間がかかりすぎる。そのうえ、生産量の拡大が求められたため、技能を有する作業者の手は、測定以外の場所に回す必要があった。

ウェッジの精度を確保しつつ生産量の拡大に貢献でき、かつプロセス内に組み込むことができる高度な自動検査システム。必要なのはそういったソリューションであった。

解決策

このニーズを満たすには、Olympus NDT 社ではパーツ加工だけでなく、検査とパーツ搬送も融合した全自動加工セルを構築する必要があった。

それにフィットする理想的なインプロセスソリューションと言えるのが、レニショーの Equator™ であった。測定精度も繰り返し精度も高く、さらには動作速度も速いシステムである。

SP25M 3 軸アナログスキャニングプローブと組み合わせることでデータ取得速度は 1,000 点/秒に達し、ウェッジの位置と形状の測定を可能にする。

Equator は比較測定器である。マスターパーツを基準にして、加工製造したパーツの仕様が問題ないことを確認する。マスターパーツの測定は最初に行い、マスターデータを作成する。その後、加工パーツを測定およびマスターパーツと比較し、公差内に収まっていることを確認する。また、測定データを使って、不良品が生まれないよう、CNC 加工パラメータを自動更新してプロセスを調整する。

Equator はウェッジの生産セルに完全統合できる点も特長として挙げられる。人の手が介入する必要がない。加工が終わるとロボットが工作機械からウェッジを取り出し、搬送システム経由で Equator にローディングする。

ロボットと Equator は互いにデジタル I/O 経由で通信し、パーツのロードが完了するとロボットから Equator に、測定が完了すると Equator からロボットに通知が行われる。

測定結果をもとに Equator コントローラにインストールした IPC ソフトウェアから工作機械コントローラの工具オフセットを更新し、工具摩耗に合わせて自動的に補正を適用する。

夜間も週末も継続して生産できるようになったことで、生産能力が約 3 割アップしました。また、ウェッジ検査の自動化には目をみはる効果がありました。ダウンタイムとスクラップのコストが減っただけでなく、加工パーツのクオリティも上がったのです

Olympus NDT 社 (カナダ)

結果

ウェッジの検査プロセスを Equator で自動化したことも一助となり、Olympus NDT 社は目標としていた生産量拡大を達成できた。レニショーのサポートもあり、システムの導入は試運転まで 3 か月で完了した。オペレータに大きく依存する手動測定の代わりとして、大きな費用対効果をもたらしている。

重要なこととしてひとつ言えるのは、ボトルネックが目に見えて解消したことが挙げられる。Equator は現場に設置する設計である。工作機械のすぐ近くに設置できるため、測定プロセスを最大限まで効率化できる。Olympus NDT 社の現場では、抜き取り検査ではなく全数検査を行っているほどだ。

また、Equator は CNC 工作機械とダイレクトに通信を行い、パーツが温度の影響を受けたらすぐにオフセットを自動更新するため、不良品の大幅減にも貢献できる。

Equator でスキャニング測定中の精密ウェッジ

Equator でスキャニング測定中の精密ウェッジ

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