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三次元測定機へのレトロフィットにより、検査時間を短縮し、新しいビジネスを獲得

Future Advanced Manufacture Ltd(Future AM)の創立者マイク・サリバン氏は、30 年前の同社の創立時に、安さを売り物にしても得策ではないことを悟りました。「いくら低い料金を提示しても、必ずそれより低価格を提示する他の業者が存在するものです」と彼は説明します。「当社は、最初から価格以外の別の武器で勝負することを決めました」。 

サリバン氏はエンジニアリング作業に関して、「当社がこれらの 3 点を兼ね備えた製品を提供できれば、クライアントも単純に安さだけを売り物にするサプライヤーを選んで、自社の名声だけでなくその顧客の命を危険にさらすようなこともないでしょう。」

Future AM社は現在、医療、航空、宇宙、油田探索など、継続的な研究開発とテストが求められる、世界で最も要求が厳しい業界のクライアントに向けた高精度エンジニアリングを専門に手がけています。同社の代表取締役、クレイグ・ピーターソン氏は、5 年間にわたって自社株買占を行っている最中で、次のように説明します。「当社のクライアントは、設計と製造の精度に加えて、運用効率の点でも高い水準を求めています。この分野で長期的な成功を収めるには、システムと技術を継続的に改善し、高い技能を備える人材に投資を行う必要がありますが、2010 年7 月にレニショーの REVO 5 軸システム を購入したのも、このプロセスの一環で行ったものです。」

同社は、航空宇宙産業における専門技術を開発しており、「航空宇宙アプリケーション向けの複雑性の高いコンポーネントとアセンブリ」の製造における能力に対して、2009 年末に AS9100 認証を取得しました。ピーターソン氏は、次のように説明します。「ウィンドトンネルテストに使用される空気力学モデルの設計・製造において、当社はヨーロッパを代表する企業の一社で、ベッドフォードにあるエアバス&航空機研究協会と長年にわたって協力しています。」 

世界的な名声を誇る同社は、2010 年初頭に米国において初の大型契約を獲得しました。ピーターソン氏はこれについて次のように語ります。「詳細を語ることはできませんが、一つだけいえるのは新しい推進系向けのチタンブレード製造には、非常に厳格な検証プロセスが必要だということです。当社の既存の計測ツールはこれに向かなかったため、レニショーに相談し、REVO 5 軸システムを取得しました。」

REVO は全く新しいダイナミック計測ヘッド・プローブシステムで、 精度と計測スピードを改善しながら、更なる自動化機能と新機能を提供することで、三次元測定機(CMM)の処理量を改善するように設計されています。測定機と同期を取りながら Renscan5™ 計測技術で計測を行い、超高速倣い測定時に発生する、測定機の動的誤差を大幅に軽減しています。さらにレニショーの新しい MODUS™ ソフトウェア(業界標準のプログラミング言語に対応)を使用して CAD によるプログラミングを活用できるようになっています。 

サリバン氏は次のように説明します。「レニショーの REVO と MODUS パッケージを選んだのは、Dassault Systèmes社 の CATIA® を用いた、安全にデータ転送をするための DPD(デジタル製品定義)サイクルを開発していたためです。これを使用すると、顧客やサプライヤーと速やかかつ安全に CAD ファイルなどのデータを共有することができます。しかし、製造プロセスを通して同じ CAD を共有していることを確認するためには、CATIA V5 ファイルを検出して直接照会できるシステムが必要だったため、その機能を備えていた MODUS を選びました。さらに、REVO ヘッドを既存の CMM にレトロフィットすることもでき、短時間で取り付けを行うことができました。」

当初 Future AM は、プロジェクト期間が限られていたため、自社システムを設置するまでの間、レニショーの設備内(同じくグロスタシャー内に位置)に置かれた REVO を使用して検証作業を行いました。ピーターソン氏はこの点について、次のように説明します。「レニショーからは多大なサポートを提供してもらいました。おかげで、すべてのブレードを予算内で製造して期日内に納品することができました。不合格もなく、スペアのテストブレードでさえ検証にパスしました。この結果、このクライアントには次の契約を検討してもらっていますが、今回の 25 万ドル規模のプロジェクトで得られた恩恵はそれだけではありません。」

REVO と MODUS システムに投資したことで、他の事業エリアにも恩恵が広がっています。ピーターソン氏は次のようにコメントしています。「これらのシステムにより、計測部門の最終検証サービスが 80% 改善しました。たとえば、Highwater Products社 というクライアントの高精度画像処理ドラムの検証は、以前の機械で 1 時間を要しましたが、新しい REVO ではわずか 10 分ほどです。その上、Modus ソフトウェアにより、詳細なレポートが得られるため、加工後の処理の精度が向上しました。」

このように効率と精度を向上したことで、リバースエンジニアリングサービスも提供できるようになりました。ピーターソン氏は次のように説明します。「クライアントから CAD の登場前に作成したアイテムなど、CAD データがないアイテムを製造できるか尋ねられることがよくありましたが、現在ではその対応体制が整っています。この場合には、最初にコンポーネントをスキャンしてデータを点の集まりに変換し、SolidWorks® & Visi Reverse ソフトウェアを実行して仮想 3D 表面を作成します。その後、REVO で新しい仮想面と元のパーツを比較し、エンジニアリングプロセスを検証してから、複製パーツを作成します。」

Future AM社 は、新システムにより空気力学テストの分野で欧州の競合企業を引き離していますが、ピーターソン氏は次のようにその状況を説明します。「技術に遅れを取る可能性が常に付きまといますが、REVO と MODUS のコンビは現在利用できる中で最先端のレポート検証システムであるため、将来の保証が得られるだけでなく、競合会社が使用する技術を真似するよりも理に適っています。 

これらのシステムでは、元の CAD モデルと直接比較した検査データが、クライアントの求める標準を満たす表形式とグラフィック形式のレポートで提供されます。その内容も、断面スキャン、表面起伏、傾斜基準をカバーしています。」

さらに意外な展開として挙げられるのは、Future AM社 で元の製品の製造に関与していない場合でも、製品の最終検査と検証を同社に依頼する顧客が増加したことです。「REVO/MODUS システムについては 2011 年まで広報に使用する予定もなかったのに、導入数カ月で当社の新しい機能に関する情報が、口コミで既存のクライアントの間に広がったようです。 

クライアントは、当社が設計と製造に限らず、ISO 9001:2008 や AS9100 認証に準拠した総合サービスを提供できることを認識しており、オリジナルデータの安全な転送ルートを使用してクライアントのシステムとシームレスに統合を行い、社内で行っているかのような仮想サービスを提供できる点を高く評価してもらっています。」 ピーターソン氏は REVO/MODUS の投資により大きな成功が得られていることに満足していますが、1 つ問題があるといいます。「2011 年には、新しい事業に対応するために、更なる計測部門への投資を行うことが必要になりそうです。」