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ケーススタディ: 研究所で大活躍のレニショー inVia コンフォーカルラマンマイクロスコープ

2022 年 1 月 1 日

Materials Characterisation and Fabrication Platform (MCFP) は、オーストラリアのメルボルン大学にあるマルチユーザー施設で、学術界および産業界からの 250 名以上に利用されています。オーストラリアの研究者を主な対象としていますが、世界中の重要なサンプルを分析している名だたる研究施設です。MCFP の応用分野は広く、その範囲は、新素材、二次元ナノ材料、薄膜、ナノ粒子、生体材料、細胞-材料相互作用、持続可能材料、鉱物、マイクロナノデバイス、遺産保存にまで及びます。

オーストラリアのエジプトカブトムシとレニショーの inVia コンフォーカルラマンマイクロスコープ

イメージ: レニショーの inVia Qontor コンフォーカルラマンマイクロスコープで分析するエジプトファイアンスのビーズ (MCFP にて)。

古代文化では、どんな材料を使って色を作ったのでしょうか。どのようにして、その色を宝飾品や美術品に付着させたのでしょうか。私たちに真贋を区別できるでしょうか。これらは、MCFP で遺産保存の専門家たちが取り組んでいる疑問の一部です。物質の分子構造を調べるには、振動分光法を使います。専門家たちは、これらの方法を美術品や歴史的建造物の調査に応用して、絵画や物体に含まれる顔料やインクの組成についての理解を深めます。材料と既知の天然資源を照合することによって先住民文化の交易経路を追跡でき、使用されている顔料の種類から、絵画が制作された場所を特定できます。同じ方法で、ある時代や場所に関して正確であるとわかっている資料と照合することにより、偽造工芸品、贋作美術品、そして不正改ざん文書を検出できます。

MCFP の管理責任者である務める Elena Taran 博士は、次のように述べています。レニショーの inViaTM コンフォーカルラマンマイクロスコープのカスタマイズ構成が、さまざまな形状や組成を持つ文化財の分析に最適であることから、MCFP の分光器として採用されました。MCFP では、既存の FTIR (フーリエ変換赤外分光光度計) を補完しつつ、同施設に入ってくる多種多様なサンプルにできるだけ柔軟に対応できるシステムを求めていました。inVia が選ばれたのは、優れた速度、感度、分解能を備えた高スループットの頼れるラマン分光装置として運用できることに加え、StreamLineTM や StreamHRTM といったさまざまなマッピングの性能も優れているからです。加えて、操作性も重要でした。ボタンをクリックするだけでレーザー/フィルタ/格子を自動交換できる完全密閉型の分光器であり、光学部品を交換する必要がないことから、何か問題が発生した場合のダウンタイムのリスクを最小限に抑えられます。MCFP では、inVia システムを、532/633/785nm の 3 波長、複数の格子 (1200/1800/2400l/mm)、レニショー StreamHR および StreamLine ソフトウェアという構成にし、そこに HSES サンプリングアクセサリキット、ウェルプレートホルダ、リンカム THMS600 加熱/冷却ステージを追加装備してサンプルの取扱いができるようにしました。ユーザーは、導入動画とハンズオントレーニングによる講習を受け、概ね 1~2 時間で自らデータを収集できるようになります。

「これまでに inVia で対応したプロジェクトはいずれも、ユーザーに確かな成果を提供してきました。分光器を開ける必要がほとんどなく、装置の管理やユーザーへのサポートがリモートでできることは、最近のワークフローには欠かせません。装置の管理責任者として個人的には、良質なデータを高速で取得できることが最大の特徴と感じています。スペクトルを指定するか、レニショーの StreamLine ソフトウェアを使用して広範囲からデータを収集し、その範囲の平均スペクトルを出力したり、特徴や化学組成を空間的に調査したりできます。データを高速で取得できる装置であれば、研究者が目標を達成できるよう継続的に支援できますし、研究者は、良質な出力結果を得るのに必要なすべてのデータを生成できます」と、MCFP の技術スペシャリストである Anders Barlow 博士は述べています。

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参考資料

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inVia Inspect ラマンマイクロスコープ

inVia マイクロスコープについて

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詳細について

Materials Characterisation and Fabrication Platform の詳細

MCFP を利用している研究者は、がんや HIV の治療薬を体内の必要箇所に直接届ける新しい方法の発見など、革新的で新しいさまざまな産業領域を研究しています。動きだけで発電する可撓性材料を開発する研究も行われており、その材料を身に付けるだけで携帯電話を充電できる日が来るかもしれません。また、有害物質を除去と炭素の捕捉を効率的に行う水および気体用フィルタが、MCFP の協力を得て現在製作されています。インフラ技術者たちは、ガラスや電子廃棄物などの廃棄物を使って、従来のコンクリート製造で生じる二酸化炭素の排出量を大幅に削減する持続可能なコンクリートを開発しています。

Materials Characterisation and Fabrication Platform の活動について詳しくは、https://eng.unimelb.edu.au/nanomaterials を参照してください。