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ATOM™ で実現する、FPD の高速・高精度な検査と修復

韓国のフラットパネルディスプレイ (FPD) 製造用機器メーカーは近年マーケットリーダーとしての地位を築いており、有機発光ダイオード (OLED) やアクティブマトリックス式有機発光ダイオード (AMOLED) の製造において近年見られる成長の多くを牽引してきました。

有名な韓国のモーションコントロール用部品のメーカー TPC 社は、レニショー製超小型リニアエンコーダシステム ATOM を X 軸と Y 軸に組み込んだレーザー開口絞り(オプチカルスリット)アセンブリを開発しました。この開口絞りは、FPD アセンブリや金属フォトマスクのレーザーを使用した修復向けのコンパクトで高精度な開口制御を実現します。

FPD の製造では、パターンを埋め込んだレイヤーを 1 度に 1 層作成する複雑なプロセスが何度も繰り返されます。そして、FPD アセンブリ上に作成したレイヤーそれぞれを検査する必要があり、その検査を通じてディスプレイの質に影響する可能性の高い不具合を特定します。不具合は、多くの場合、次工程に進む前に、Nd: YAG(ネオジウム添付イットリウムアルミニウムガーネット)レーザーなどを照射して修復します。

ATOM™ リニア手順

高性能、低ノイズ、小型軽量なエンコーダシステムに我々が求めていた条件を、ATOM はすべて満たしています。他社品と比較したことで ATOM がクラス最高ということが際立ちましたし、レニショーは納期やアフターサービスも素晴らしい対応をしてくれました。」(Hwang 氏)

TPC Motion(韓国)

パネルの不具合修復

パネルの不具合

FPD の製造技術が近年複合的かつ複雑になるにつれて、パネルの不具合発生の確率も増加しています。そのような不具合が起こったとしてもディスプレイの質への影響を最低限に抑えられるように厳格な検査修復手順が確立されています。修復作業は、液晶ディスプレー (LCD) 製造の場合、薄膜トランジスタ (TFT) 基板、カラーフィルター (CF) 基板、TFT/CF アライメント(セル組立)に関わるプロセスなどに関わってきます。

LCD パネル上に数 100 万個あるトランジスタが 1 個でも破損すると、サブピクセルが永久に ON または OFF のままになり、ディスプレイ上に小さな黒点や輝点が発生するようになります。また、黒い線や明るい線は、多くの場合、TFT データラインが破損またはショートすることで発生します。TFT レイヤーには修復用構造が組み込まれているため、レーザーを照射することによって、不具合で白色になっているピクセルを「黒色」や「暗い色」に変換することができます。レーザーはアブレーションや溶接に使用し、不具合に焦点をあてて気化させたり TFT の修復の場合は新しい接点を作成したりします。レーザービームのスポットサイズ(直径)は、不具合を囲みつつも不具合周辺の正常な基板部分には影響を与えないようにするために慎重に制御する必要があります。パネルを正常に修復したり、生産量を向上したりするためには、レーザー開口部が直径 5~50µm の範囲で正確に開閉できることが不可欠です。

レーザービームの形成

FPD の修復工程では、パネルの基板をエア駆動 XY ベアリングステージに載せた状態で、走査ミラーなどを使って基板にレーザービームを正確に照射します。開口絞りはレーザー光源と照射対象の間に位置し、アプリケーションにあわせて、工程の必要要件に合うように、レーザービームの形や広がり(拡がり角)、さらには強度を変化させることができます。FPD の修復用途としては対物レンズを使用したシステムが一般的な中、TPC 社の開口絞りには今までにない可変設計が採用されています。機械的に調整可能な開口絞りには、レーザーのスポットサイズを、第 10 世代機器の典型的なサイズである 1µm 以下以内で正確に制御でき、さらにビームの拡散を正確に制御できる、というメリットがあります。

「レーザー用開口絞りは 2 枚ずつ対向するように配置した 4 枚の可動翼から構成しています。各翼は、個別のボイスコイルモータによって最大移動範囲 2mm を駆動し、

バナー: TPC 社 ケーススタディ

4 個のボイスコイルモータそれぞれに位置フィードバック制御を行えるよう ATOM が取り付けられています。この開口絞りに採用した ATOM の分解能は 50nm で、RTLF テープスケールと組み合わせてあり、ATOM のこの精度なら 5×5µm~50×50µm の開口部サイズの正確な制御が可能です。不具合を補修する前に、開口部のサイズをセットし、次回の補修までそのまま固定します。」(TPC Motion ディレクター Hyun-Joo Hwang 氏)

超小型化設計

ATOM™

TPC 社の開口絞りアセンブリは狭い設置面積内に収まるよう極力コンパクトに設計されています。そのため、ATOM が物理的に小さいことが、この開口絞りのサイズに適合するに不可欠な要素でした。

「レーザー修復ツールはパネル上を前後に高速スキャンし、不具合を検出するので、処理能力が最大になるよう軽量な設計とする必要がありました。この開口絞りには、4 個のボイスコイルモータが内蔵されており、各モータに ATOM が 1 個ずつ、それぞれ約 100mm2 のエリアに取り付けられています。ATOM のクラス最高のそのフィードバック性能で開口制御を向上できるだけでなく、軽量なリードヘッド(4g 未満)のおかげで全体的な設計重量も軽量化を維持できています。」(Hwang 氏)

ATOM の超小型リードヘッドのサイズは 7.3×20.5×12.7mm(FPC ケーブル版)で、限られたスペースしかないアプリケーションに最適です。

高い繰り返し精度と高い安定性

レーザーを用いた不具合修復の間、レーザー開口部のサイズは固定し、オペレーターによる調整と調整の間も安定させておく必要があります。そのため、各翼が 1 度位置決めしたらその位置でガタつかず固定されるよう、エンコーダからの出力内のノイズを最低限に抑える必要があります。

TPC 社としての開口絞りの要求繰り返し精度範囲は、周辺基板への予期しない損傷を限定するため、±0.5µm でした。

「高性能、低ノイズ、軽量小型なエンコーダシステムに我々が求めていた条件を、ATOM はすべて満たしています。他社品と比較したことで ATOM がクラス最高ということが際立ちましたし、レニショーは納期やアフターサービスも素晴らしい対応をしてくれました。」(Hwang 氏)

ウェブサイト:ATOM リードヘッド

ATOM は TPC 社が近年開発に成功した精密超小型リニアモーションステージにも採用されており、TPC 社からの信頼がここに象徴されています。この新開発したステージは、半導体や FPD、その他自由度が高く、高精度かつコンパクトな製造機器が要求される分野で使用されていくでしょう。

TPC 社について

TPC (Tanhay Pneumatic Engineering Company) 社は 1973 年に設立された、韓国最大の空気圧装置メーカーです。モーションコントロール部門 (TPC Motion) は 2009 年に設置され、リニアステージモータやサーボモータ、直角座標ロボット、3D プリンター、各種光学部品などモーションコントロール関連製品の開発に特化しています。半導体、FPD、プリント基板産業などを顧客としています。TPC 社は、ATOM だけでなくオプチカルエンコーダ TONiC™ や 品質チェック用にレーザー干渉計 XL-80 も使用しています。

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  • ケーススタディ:  ATOM™ で実現する、FPD の高速・高精度な検査と修復