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研究用ロボットの倒立安定化を実現する RM08 磁気式エンコーダ

背景

東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科の石川教授の研究室では、ロボットをはじめとする機械システムへの制御理論の応用を研究している。研究テーマは、人と触れ合うロボットの制御技術 (福祉メカトロニクス、パワーアシスト)、ディープラーニング (機械システムの故障予兆診断、インテリジェントビルの消費電力予測)、生物模倣ロボット、遠隔操作システム、クレーンの揺止めなどの運動制御である。

石川教授は、これらのロボット研究の第一人者であり、将来のロボット開発のために重要な役割を担っている。その詳細については、研究室 Webページ: www.fr.dendai.ac.jp/lab/isilab/ で知ることができる。

課題

ロボットを制御するためには、理論だけでなく、加えてさまざまな技術が必要になる。ロボットを構成する主な要素は、大きく分けて 3 種類ある。

  • 骨格等構造部・駆動・機構要素
  • センシング要素
  • 制御・情報処理・判断要素

今回の課題は、ロボット駆動部に関するものである。
研究室に所属したての学生の教育も兼ねて、最新制御による倒立台車の制御を研究テーマとした。セグウェイのミニチュアバージョンで制御して立たせる実験と考えるとわかりやすい。その実現のため、台車のわずかなスペースに設置して車輪の角度を計測する必要に迫られた。しかし、その超小型センサーを選定することに苦労していた。

転倒状態から倒立状態になるように設計した (多少突っついてもバランスを立て直す)。 台車写真、中央のモータ部分に RM08 が付いている
台車写真 (中央のモータ部分に RM08)


台車写真 (中央のモータ部分に RM08)

解決策

石川教授は、以前からレニショーの RGH エンコーダなどを使った経験があった。そのため、レニショーエンコーダには豊富なバリエーションがあることを知っていた。そこで、RM08 超小型非接触式ロータリエンコーダを見つけ出した。RM08 を使用して、車輪の回転部分の小さなスペースに小型の磁石を設置して、角度測定することを試みた。

RM08 超小型非接触式ロータリエンコーダは、過酷な環境向けに設計された超小型の高速磁気式ロータリエンコーダである。2 個のパーツから構成される非接触式方式のため、パッキンやベアリングの必要性がなく、長期にわたる信頼性と簡単な取付けが実現している。

結果

学生たちに RM08 を紹介して使ってみるように指導したところ、小型の磁石を狭隘な可動部に工夫して設置して、課題の機体を完成させることができた。12bit の精度で角度を取得できるので車輪の角度を十分な精度で測定でき、無事に台車を倒立安定化させて導入教育課題をクリアした。学生たちもこの結果により、大きな自信をつけることができた。

RLS 社について

RLS 社は、エンコーダを製造・販売しているレニショーの関連会社である。世界的な需要に応えて開発している磁気式ロータリモーションセンサーおよび磁気式リニアモーションセンサーの設計から販売まで行っている。その長年の経験と知識に、革新的なアイディアを融合することで、顧客のニーズに合致した、ユニークな製品とソリューションを提供している。

<製品ハイライト>

RM08 磁気式エンコーダ

このエンコーダは、磁気アクチュエータと独立したセンサーボードから構成される。磁気アクチュエータの回転を本体のカスタムエンコーダチップが感知し、インクリメンタル、SSI、リニア電圧などの信号を出力する。そこから、受信した信号を処理し、最高 12bit (4,096 カウント/回転) の分解能と高速回転に対応する。本体は、直径わずか 8mm で、IP68 準拠の汚れに対する耐久性を備えている。

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