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アメリカズカップレース参戦のランドローバー BAR によるコントロールソリューションの強化

2017 年 4 月 4 日

オリンピック金メダリスト、英国のベン・エインズリー卿は、英国民の期待を受けて、アメリカズカップ の 166 年に渡る歴史で初めてその故郷の英国にトロフィーをもたらすべく、このレースに参戦しました。しかしながら、この目的を達成するために、所属チームのランドローバー BAR チームでは、英国最高の製造技術、設計、革新技術が必要になりました。

2013 年以降、AC72 および ACC クラスのカタマランヨットは、それまでのヨットの観念を打ち破りながら大きく変化を遂げてきました。設計プロセスでデータに基づく高度なシミュレーションが採用されるようになったことから、ハイテク複合材から空力学と液体力学に基づく複雑な構造を製造して最適化を行えるようになりました。ランドローバー BAR の「Rita」艇は、世界最強のヨットと競う上で最高の能力を発揮できるようにするために、最先端の技術を結集して設計と製造が行われています。

世界的なエンジニアリング技術会社のレニショーは、ランドローバー BAR のテクニカルイノベーショングループに参加しています。このグループの目的は、英国最高のエンジニアリング技術を総結集してアメリカズカップで勝利し、トロフィーを英国に持ち帰ることです。ヨットの世界において、これは他に類を見ないような難しいチャレンジです。

ランドローバー BAR では、Rita の開発中に油圧アクチュエータと舵面(フラップ)間のリンクが弱く、ウィング設定の精度を把握できないことを認識しました。これらのリンクは非常にたわみやすいロープを使用しており、そのために各アクチュエータの位置を把握しようとしても、実際のフラップ角度の単なる概算測定値しか得られません。そこで、ランドローバー BAR は計測技術の専門企業、レニショーにソリューションの設計を依頼しました。

レニショーのエンコーダ製品事業部テクニカルリーダーのフィンリー・エヴァンズとそのチームメンバーは、この要請を受けて、レニショーの関連会社 RLSLinACE™ テクノロジーを基にした特注磁気式エンコーダソリューションを設計しました。LinACE™ は、位置または速度クローズドループアプリケーション向けのフィードバック要素として油圧、空気圧、電気機械アクチュエータに統合するために設計された、非常に頑丈な円筒形のアブソリュートリニアエンコーダシステムです。

このエンコーダを水中翼(フラップ)の舵面および取舵と面舵に取り付けました。また、耐久性を高めて、海上でも充分に機能するように LinACE™ エンコーダに数々の改良を加えました。例えば、エンコーダのリードヘッド(センサー)をケースに格納して内部のマイクロエレクトロニクスを保護し、特殊なジンバル式電機子を設計してエンコーダを構造上の振動や水中翼のたわみから隔離できるようにしました。更に、リードヘッドとステンレススチール製パーシャルアークスケールの間に磁気ボンドを配することで、適切な取り付け高さを確保できるようにしました。

これらのデザインは、エンコーダシステム全体を成功させる上で非常に重要なものでした。エヴァンズとそのチームメンバーは、最大のチャレンジとして時間的な制約も負っており、設計上の欠陥があると、要請された期間内でエンコーダを届けられないことになります。しかし、最終的には、ワールドクラスステータスにふさわしい位置決めエンコーダによるコントロールソリューションをランドローバー BAR に納品しました。

ランドローバー BAR により制作されたビデオでは、最高速度を達成するための水中翼の配置に、レニショーエンコーダがどのように役立っているかもご覧いただくことができます。ここをクリックしてください。

更に、ランドローバー BAR では、レニショーの金属 3D 印刷テクノロジーを活用して、ヨットの油圧システム向けのいくつかのパーツを製作しています。

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